ベアリングキャップPIN圧入自動化装置

  協働開発

三実精工、(株)エム・アイ・シー様との協働開発

三実精工㈱取締役工場長  増田雄次
 
【ベアリングキャップPIN圧入自動化装置導入につきまして】
 
本件の基本概念の根底に在るのは「協働」です。
協働活動の目的として
 ・顧客との更なる信頼関係の構築の為
 ・会社と共に研鑽に励む社員の為
 ・協力関係にあるメーカー様との共存共栄の為 
   が挙げられます。
 
当社はここ数年に渡り、変動著しい産業界の変動と顧客ニーズ(価格、安定生産、安定品質)に呼応する為、協働改善活動を通じ新たな高付加価値を創造する取り組みに注力して参りました。既製の高機能設備に依存するのではなく自社に合ったオリジナルの設備を製作し、唯一無二の生産工場構築を目指しています。
 また自社の強みを強化する事は当然ながら協力メーカー様との連携を深め共に企業価値を
高める活動を継続する事が互いの利(会社収益性の向上、顧客ならびに社員の満足度向上)を生み出すはずであると強い信念を以って臨んでおります。
 
こうした利他の精神と会社方針である「いつまでもお客様に喜ばれる製品を造り出そう」を
大切にしながら今後も日本のものづくりの一端を支えていきたいと思います。

 
開発スタッフ


本機は、精密加工されたパレット内のワークを自動搬送し、
ワークにブッシュを圧入して、パレットに自動整列し積上げを行なう装置です。
圧入工程の前後で様々なセンサーによる測定を行い、常に圧入の状態、加工の精度を測定し、製品の品質を管理しています。
三実精工 開発担当者  生産技術部主任 大石
開発から稼働 そして更なる進化へ

三実精工(株) 本社工場 生産技術課 大石 尚

 
自動車の内燃機関まわりの金属加工部品は、確かな品質と高精度が求められます。金属部品加工は、熟練された工員による繊細で正確な作業を要してきました。
 それらの工程を機械に置き換え、属人的な技術を機械に継承することが課題の一つでした。
この度、内燃機関の部品(ベアリングキャップ)に、ピンを自動で圧入する装置を、株式会社エム・アイ・シー様と弊社が、構想から開発、実用に向けて試行と意見交換を重ね、2年以上の歳月を要し稼働を実現することができました。
 その工程は、数多くのセンサーで精密に記録管理されています。開発にあたっては、ピンの圧入加重の微細な調整が必要でした。開発当初、仮に低い値で設定したときには、ピンのゆるみが発生し、また、圧が高い場合は、ピンの変形や圧入時のかじりによる不良が発生し、製品として合格することができません。最適な数値を追求する試行・試運転に、予定を超える6ヶ月以上の月日を要することとなりました。
 数多くのセンサーによる測定検査を行いながらのスムーズな運用を目指し、そして、工場内の前工程のMC加工に遡り、全長狙い値を中央にするように再指示するなど、工場内の全工程の再点検もあわせて行いました。
 ピンの圧入油圧調整は、ザグリ径が管理値内であっても、数値の下限に近付くと、機械が異常を感知するなど、油圧の微調整を繰り返す作業を行い、最適な動作を追求しています。自動化を進めれば、その都度、新たな課題が発生し、一つ一つ解決していく地道な作業でした。 熟練工が対応していた工程を、自動機に置き換える作業は、人の労力と英知を注ぎ込みながら、最新のセンサーやロボット技術に置き換える繊細な感性も必要と考えます。
 オリジナル工作機械メーカーのエム・アイ・シー様と自社スタッフが協力して生み出した自動機の成果は当社の製造部、品質保証部を始め他部署へも波及していきます。MC加工においても、全長寸法中央値の安定化のため治具の見直しや、ザグリ径寸法の安定化の対策、作業管理者の管理技術を向上し、寸法データ収集とデータ分析管理を進めます。 この度の自動機の導入により変化した工場の作業工程を更に見直し、最適な人員配置と工程管理を行うことで、更なる生産性を向上させることができるものと考えています。
三実精工 開発担当者  生産技術部主任 大石
B-CAP自動圧入機導入に際して
 
製造部   村田 俊晴
 
私は、40年以上にわたり金属加工の現場経験を生かし、図面おこし、試作工程管理、CAD・プログラミング、設備保全などの業務に携わっています。
 
2020年の春に、従来の熟練機械工の手作業に替わり、作業工程を自動化する当社独自の機械装置を開発するプロジェクトに参加する機会を頂きました。
 作業効率UPの目的と並び品質安定化と高精度を求める装置開発プロジェクトです。
開発当初の仕様決定に際しては、サイクルタイムを、バリ取り自動機と同一(≒7.5秒/個)にすることでの工程連携も目的の一つでした。
手作業を極力省くため、材料の搬入、排出を効率化するための専用台車の製作を企画し、それに併せて各ポジションに専用台車が近づくと、センサーにより、搬入口のシャッターを自動開閉するなどの動作機能も当社の工程に合わせて製作しました。
 また、自動機内の各ステーションに必要な測定センサーを配置し、生産数、工程の測定値を詳細に記録する装置など、自動機メーカーのエム・アイ・シー様と協議を重ねながら開発を進めてきました。
 製作途中においても、エム・アイ・シー様の工場にて、各ステーションの細かい不具合内容をその都度調整を重ねて参りました。
既に、当社本社工場で、稼働していた自動バリ取り機との連携のため、工場内のレイアウト変更を済ませ、2022年10月に搬入設置することができました。
搬入後には、再度、調整作業を行い、お取引先様の最終検査にも合格し、本格稼働となりました。
 
B-CAP自動圧入機を継続して円滑に稼働させるためには、前工程(加工)の品質の安定化、そして、製造担当者のスキル向上が大切と考えます。
これからも若手社員の育成に、私の製造現場での経験を生かすことが出来れば幸いです。

ご覧のブラウザでは当ウェブサイトを適切に表示できない可能性があります。恐れ入りますが、最新のGoogle Chromeでご覧ください。

Google Chromeからご覧になる場合には、ここをクリックしてください。